【今回のトピックス】
第15回 日本臨床腫瘍学会
「The Best Cancer Care – Anytime, Anywhere, and for Anyone-」
7月27日(木)から29日(土)に開催された第15回日本臨床腫瘍学会(神戸)より、弊社Oncology担当者が注目したトピックをお届けします。
「がん医療」の進化 「医療の質」の改善
今年は学会15周年という節目でもあり、日本におけるがん治療・がん対策のこれまでの成果と今後の課題を振り返る会長特別企画「がん診療-均てん化はどこまで進んだか?-」が開催されました。がん対策基本法が策定され10年が経ち「がん医療」は着実に進化している一方で、がん薬物療法専門医数の地域格差や、複数存在するガイドラインをどう活用するかなど、「医療の質」の改善について取り上げられました。
2017年4月現在のがん薬物療法専門医は1,229名(日本で必要とされている専門医は1,300名との事)。都道府県別でみると東京で199名、沖縄では2名と地域格差が指摘されました。毎年、改善傾向にあるものの専門医が不在のがん診療拠点病院は全体の43%(349病院中151病院)であり、がん薬物療法専門医の地域偏在は明らかです。 専門医の確保だけでなく、人材育成も大学や臨床研修の段階から適切な教育・研修が行われることが重要な課題であると認識させられました。
この他、希少がんや難治性がん治療へ取り組み、複数存在するガイドラインの活用、そして個々の患者さんに合わせた“ガイドラインを超えた治療”をどのように提供していくかという点も課題として提示されました。
世界からも注目されるSCRUM-JAPANの実績
2017年5月現在、肺がん領域(LC-SCRUM)では245施設、消化器がん領域(GI-SCREEN)では20施設が参加。既に5,000以上の患者情報が登録されているとの事です。また、SCRUM-Japanに関するセッションでは、 MSI-HighやTRK融合遺伝子など腫瘍を特定しない臨床試験などの取り組みが紹介されました。
ビッグデータ・AI・ゲノム・創薬
AIやゲノム情報を活用する医療研究、創薬に関する「ビッグデータ・AI・ゲノム・創薬」セッションにも注目しました。本セッションでは、「人工知能を含む、がん治療チーム」が提唱され、医薬品開発の全プロセスをカバーするツールの開発や各種データベースの開発とアップデートが進んでいると発表され今後のがん治療領域の進化が期待されていました。
■ 編集後記 ■
弊社ではASCOの準備が始まる4月ごろからJSMOが終わるまでは多忙な日々が続きます。夏休みでリフレッシュしてまた秋の学会シーズンに備えたいと思います。オンコロジーご担当者の皆様が夏休みをゆっくりと過ごせることを願っております。