日本がん登録協議会 第29回 学術集会が、6月4日より14日までの会期でWeb開催されています(詳細ページへ)。
全国がん登録が始まって4年目。「がん登録からがん対策への期待」という学会テーマが掲げられました。昨年には2016年初年度のデータ公表もされ、今後は「集める」ことから、より「データを活用」する新しい時代の幕開けを感じます。製薬業界が望む「治療データとのリンケージ」研究についても、様々な角度で取り上げられていました。
全国がん登録とは?
日本でがんと診断されたすべての人のデータを、国で1つにまとめて集計・分析・管理する仕組み。2016年1月に始まった(詳細はこちら)。がんを罹患数や生存期間を把握する上で欠かすことのできない情報。悉皆性が高いため希少がんも把握できる。
サイニクス株式会社もポスター発表しました!
全国がん登録の情報利用:今後広がる民間利用における課題と展望 R-1-6
本研究は、弊社が2017年より分担研究を務める厚生労働省科学研究費がん政策研究事業研究班*の研究結果となります。
製薬業界では、全国がん登録データと診療情報とのリンケージが高く望まれています。そのためには法令の改正が必要となり高いハードルとなりますが、がん医療の質の向上のために産業界を巻き込み、積極的に議論されたいと提言しています。
サイニクスでは、厚労省の研究班や本学会のような学術集会において、医療ニーズの把握や医療の質の向上に貢献するためには、がん登録のような悉皆性の高いエビデンスが必要であることを、民間企業を代表し今後も訴求してまいります。
*「都道府県がん登録の全国集計データと診療情報等の併用・突合によるがん登録整備及び活用促進の研究班」(研究代表者 松田智大 国立がん研究センター)において発足された分担研究班「産業界におけるがん登録データ活用の検討」(分担研究者 永岩麻衣子、村松綾子 サイニクス株式会社)
注目トピック
【藤本伊三郎賞受賞講演】
日米における多発性骨髄腫の死亡率・罹患率の経年変化 (碓井喜明 愛知県がんセンター)
- 長く治療の選択肢が乏しかった多発性骨髄腫は、2000年代に入り多くの新規薬剤が選択肢に加わり高齢者も治療を受けやすくなった。
- 2000年以降も罹患率は日米ともに伸び続けていたにも関わらず、新規薬剤が参入し始めた2005年以降は死亡率が下降傾向に変化したことがわかった。
- 80歳以上の年齢群を除く全年齢群において死亡率は下降傾向に変化しており、特に日本では70歳代において死亡率が上昇していたにもかかわらず、下降方向に転ずるという変化が顕著であった。
- 新規薬剤の導入により死亡率が改善した可能性が示唆された。
厳選トピック がん統計を読み解く際のご参考に
サイニクスが製薬企業の皆様からよく頂くご質問に対して参考になるようなトピックを厳選しました。
- 前立腺がん罹患率の臨床進行度別年次推移 ―多重代入法を用いた検討―
- 齋藤 英子(国立がん研究センター がん対策情報センター がん統計・総合解析研究部)R-1-9
- 大阪府における希少がん ―悪性骨軟部腫瘍の受療状況―
- 原 加奈子(大阪国際がんセンター)R-1-5
- がん診療連携拠点病院受診患者の初回治療内容―院内がん登録全国集計データと地域がん登録データを用いた比較
- 瀧口知彌(金沢医科大学医学部公衆衛生学)R-2-7
- 院内がん登録データからみた高齢者のがん治療
- 吉井寛子(市立札幌病院)R-2-9
学術研究活動 ACADEMIA & SCIENTIFIC ACTIVITIES
サイニクス株式会社では、厚生労働省の研究事業への参加や研究・論文の発表、外部シンポジウムなどでの講演など幅広く活動を行っています。これらの活動を通じて、最新かつ最善のデータ選択に必要な知識を身に着け、より精度の高い情報やデータをお届けします。
がんに関する情報について、何かお役に立てることがございましたらご連絡くださいませ。