医薬品市場における患者数データとその戦略的活用

ダイジェスト

2009年10月20日に東京国際フォーラムにて開催致しましたセミナー『医薬品市場における患者数データとその戦略的活用』では、 多数の皆様にご来場いただき盛況のうちに終えることができました。ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。
今後も随時、セミナー開催を予定しておりますので是非ご参加ください。

トピック

『患者(疫学)調査を活用したマーケティング戦略/プロモーション活動 -男性型脱毛症(AGA)の場合』

万有製薬株式会社 マーケティング本部
がん・神経領域・特定疾患グループ マネージャー
阿曽 利行氏

1. AGAに関する患者調査を活用したマーケティング戦略立案

  • 患者調査からの罹患率の推定
  • 製品ポテンシャル評価への活用
  • 製品使用威光に基づく潜在使用患者の推計
  • セグメンテーション/ターゲティング

2. AGAに関する患者調査を使用したプロモーション活動

  • 医療関係者向けプロモーション
  • 広報活動
  • テレビCMやその他の広告活動

『注目すべきニッチ市場の動向とその対応戦略』

ファーマ・マーケティング・コンサルタント
井上 良一氏

生活習慣病を中心とするマス市場での薬剤は治療満足度が高く、供給過剰、特許切れによるジェネリック品の進出、OTC化などにより、医療用医薬品としての事業機会はなくなってきた。このことを認識した医薬品企業は一斉にメディカル・ニーズが高いが今まで放置されていたニッチ市場での疾患を次の創薬ターゲットにしてきている。しかし、ニッチ市場も画一的なものではなく、すでに多くの新薬が開発中の立て込んでしまった市場、台頭しつつある市場、難しい疾患で要挑戦市場など多様な姿を示しつつある。それらの具体例を提示したい。そしてこのような複雑な状況に対しては、高い目利き力が求められ、目利き力強化をベースとする研究開発戦略を立案・実行する必要がある。またニッチ市場では一般に疫学データが不備であり、新薬の売上予測などを過小に見積もり、潜在市場性を見誤ることが多い。これを避けるには疫学データの整備とともに特に患者団体や専門臨床医とのインタビューによる市場の質的評価が必須である。

『がん統計のしくみと最近の動向』

国立がんセンター がん対策情報センター がん情報・統計部 部長
祖父江 友孝 先生

がん統計の指標には、死亡率(数)、罹患率(数)、生存率、有病率(数)、受療率(数)などがある。死亡率は人口動態統計、受療率は患者調査により測定されるが、罹患率・生存率・有病率を測定するしくみが、がん登録である。がん登録には、地域がん登録、院内がん登録、臓器がん登録があるが、諸外国に比べて整備が遅れており、がん対策基本計画においても重点課題の1つとして取り上げられて、拠点病院における院内がん登録を中心に体制整備が図られている。一方、2006年に国立がんセンター内に設立されたがん対策情報センターでは、がん情報サービスの中でがん統計資料の収集・加工・発信を進めている。
わが国のがん死亡数は34万人(2008年)、がん罹患推計数は62万人(2003年)であり、どちらも増加傾向にある。この増加の主な原因は高齢者人口の増加にある。年齢調整率の年次推移をみると、1990年代後半以降、男女とも、死亡は減少傾向、罹患は横ばい傾向にある。部位別に年齢調整率をみると、多くの部位のがんで横ばいから減少の傾向が見られる中で、乳がんおよび前立腺がんは死亡・罹患とも増加傾向を示している。

『海外患者数情報源および患者数調査手法-調査担当者の視点から-』

大塚製薬株式会社 知的財産部 部長補佐
日本製薬情報協議会 会長
中野 敦子氏

医薬品企業おいて自社新薬の売上予測や導入品の評価、新規適応症の検討などにおける市場調査で各種疾患の患者数情報が必要となる場面は多く、調査部門においても調査依頼を受ける機会はしばしばあります。国内の患者数については厚生労働省の患者調査やレセプトを基にした患者数データベースなど自国内情報ということもあり比較的情報入手は容易ですが、海外の患者数に関しては統計的な情報の入手が難しく、散発的に入手した情報がどの程度正確であるかについての検証も困難なことが多いのが現状であり、弊社でも、さまざまなデータベースを導入し、より正確な患者数情報を入手すべく努力を重ねているところです。
今回は、海外、特に欧米の患者数について政府機関の統計情報や、患者数に関するデータベース等、我々が調査時に利用するデータベースについて、その特徴、収載されている情報の種類、収載対象国などを概説し、これらの情報源を用いた調査報告の手法について弊社の現状をご紹介します。
また、近年アジア、特に医薬品市場の拡大に伴って中国における患者数情報のニーズが高まっているにも関わらず、中国の患者数については未だ十分な情報が得られていないのが現状です。今回は、我々が把握しているアジア、特に中国の患者数に関する情報源についてもいくつかご紹介する予定です。
海外の患者数情報収集については、情報源についても手法についてもまだまだ力不足なところが多いと感じているので、今回の講演を通じて、是非皆さまより、弊社で把握できていない他の情報源やより正確な調査方法などご指摘いただき、ディスカッションを通じて、情報を共有し今後の調査に生かすことができれば、と考えます。


日時

2008年10月20日(火)10:00 ~ 16:40(予定)

会場

東京国際フォーラム ガラス棟 会議室G 6階

参加資格

医薬品およびバイオ企業従事者のみを限定対象としています