“難治がんへの挑戦” EGFR 遺伝子変異陽性肺がんの新しい治療選択~第13回 日本臨床腫瘍学会より~

【今回のトピックス】

第13回 日本臨床腫瘍学会 “難治がんへの挑戦” :
  ~ EGFR 遺伝子変異陽性肺がんの新しい治療選択

札幌で開催の日本臨床腫瘍学会に参加した弊社Oncology担当者が注目したトピックをお送りします。
学会初日の札幌は、快晴で少し肌寒いくらいの陽気となっており、ここ最近の東京での夏本番を感じさせる暑さから開放されて、清清しい気持ちで学会に参加できました。

EGFR 遺伝子変異陽性肺がんの新しい治療選択

開催初日の最初のセッションでは「肺がんの新しい治療選択」に関するセッションに参加しました。 ご存知の通り、個別化治療の代表的ながん種の一つである肺がんは、近年、組織型、遺伝子変異別による患者セグメント化が進んでおり、 同じセグメント内で、複数の薬剤が承認され、また開発中でもあります。本セッションでは、近年承認された薬剤の使い分けと開発薬剤の役割に注目しました。

肺がん治療のセグメントの一つEGFR 遺伝子変異陽性肺がんでは、現在3つの分子標的薬(イレッサ、タルセバ、ジオトリフ)が日本でも承認されています。 昨年末に市場調査を行なったTreatment Architecture Japanの結果では、 1st lineのEGFR陽性の約50%はイレッサ、次いでタルセバ、ジオトリフといった結果となっており、依然イレッサが日本でのEGFR陽性 1st lineの標準治療になっています。

初日の演題では、昨年1月に承認された3剤目のEGFR-TKI・ ジオトリフに関するトピックがありました。 Del19の患者群に対して有効性を示したジオトリフの2つの試験 LUX-Lung 3 と LUX-Lung 6のエビデンスを基に話された今回の日本臨床腫瘍学会では、 改めてジオトリフのDel19患者における標準治療への期待が確認できました。ジオトリフは、現在、扁平上皮がん(2nd line以降)でタルセバとの比較試験(LUX-Lung8)が 行なわれており、最終結果は来年のASCOでの発表になりそうですが、この結果にも注目をしております。

今回の学会テーマは“難治がんへの挑戦”でありました。脳転移の患者群、EGFR-TKIの獲得耐性因子の一つと考えられるT790M患者群といったセグメントは、 テーマにもある難治といえるセグメントかと思います。そのなかで、T790M患者群に対するAZD9291、rociletinibなどの新薬は、今回の日本臨床腫瘍学会でも 大きな期待となっていました。AZD9291は1st lineの試験(FLAURA)も行なわれており、今後は現在のEGFR-TKI3剤に加え、これら新薬も含めたトータル治療によるOSの延長が 挑戦の一つと考えられ、この成功には、適切な患者群の選定、その為のバイオマーカーテスト、そして、最適な治療シーケンスが鍵になると感じました。 バイオマーカーテストにおいては、Liquid Biopsyといった採血による検査も研究されており、この様なテストが臨床現場で使えるようになれば、 より最適な患者群の選定がなされると考えます。

また、最近では分子標的薬に加え、米国では肺がんでもPD-1 免疫チェックポイント阻害剤が承認され、肺がん治療に新たな武器が加わりました。 今後、これら免疫療法と既存治療との併用のエビデンスが出てくるかと思いますが、いつか難治がんへの挑戦に勝つことを信じて、 今後も開発の動向に注目していきたいと思います。

■ 編集後記 ■

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