1次治療での第3世代EGFR-TKI承認による治療マネジメントの検討ほか~第58回 日本肺癌学会学術集会より~

【今回のトピックス】

第58回 日本肺癌学会学術集会
~Synergy to Conquer Lung Cancer~

今回のSynix Oncology Newsletterでは、横浜みなとみらい(パシフィコ横浜)にて10月14日~15日に開催された第58回日本肺癌学会学術集会についてお届けします。

今回、初の世界肺癌学会議との同時開催となる日本肺癌学会学術集会。生憎天気には恵まれませんでしたが、冷たい雨の降るなかこれまでの肺癌治療における歩みと今後の展望につき熱気のある議論が交わされました。

1次治療での第3世代EGFR-TKI承認による治療マネジメントの検討

今年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)にて大きな注目を集めた第Ⅲ相FLAURA試験では、Tagrisso (osimertinib)群のPFS値で有意な延長が示されました。そのFLAURA試験について今回の日本肺癌学会学術集会では、EGFR変異陽性非小細胞肺がん患者さんの1次治療で使うべきか、引き続きT790M変異陽性となった際の2次治療の選択肢を残すか。1次治療及び2次治療合わせた生存期間、副作用など総合的な観点から、Tagrissoが承認された際の治療戦略について発表があり、多く議論がされていました。

Next Generation Sequencing (NGS)で新たな動き

研究の成果として、多様なバイオマーカーや耐性機構が明らかになっている次世代遺伝子シークエンサー(Next Generation Sequencing; NGS)では、ランチョンセミナー「がんゲノム医療最前線~次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析とバスケットトライアル~」にて、その臨床的意義が発表されました。また、日本国内でフェローシッププログラムが開始する動きについても併せて発表されました。

費用対効果から考える肺がん治療

ワークショップ「肺癌治療の費用対効果」では、昨年に引き続き肺がん治療の費用対効果について、財政と医療に未来を見いだせるのか、「命の値段」に対し熱い議論が繰り広げられました。治療費等の直接費用に加え、労働損失等の間接費用を加味した費用対効果の分析手法の検討、費用対効果に関する評価エンドポイントの設定の重要性など、他国での試みと合わせ今日の課題が整理され、数多くの聴衆の関心を集めていました。

■ 編集後記 ■

最近は天候が不安定で毎朝服を選ぶのに苦労しています。秋が深まりゆく季節、日毎に寒くなりますが、くれぐれもお身体に気を付けてお過ごしくださいませ。