日本がん登録協議会(Japan Association of Cancer Registry; JACR)が6月9日~11日の3日間 Web開催されました。
第30回学術集会 日本がん登録協議会より
集める、統合する、分析する“技術”
学会テーマにもある「がん登録を支える技術」という視点で、精度の高いデータを集め、データを応用する分析技術まで幅広くディスカッションが行われていました。
がん登録担当者向けには、肉腫、リンパ腫、白血病、小児がん、脳腫瘍の研修が行われており、がんの病理から最新治療におけるまでの研修が行われているのが印象的でした。データの精度管理には、疾患の分類・コーディングが重要という点が強調されていたように思います。
「希少がん、小児・AYA世代のがん」
症例数の少ないがんについて、全国がん登録によるデータ集約についても、本学会のサブテーマとなっていました。製薬企業においても、これらのがん患者数を把握することは非常に大事であるとともに、今後どのような施策がとられるか注目されます。
- 希少がん:RARECARENet Asia のデータに注目
- ・欧米諸国と比較し、アジアのがん罹患パターンは類似している
・協働体制を構築することで、特に症例の少ないがんでは、製薬企業も臨床試験を実現することが可能になるなどのメリットもある
- ・欧米諸国と比較し、アジアのがん罹患パターンは類似している
- 小児・AYA世代のがん:
- ・後述の「市民公開講座」の中でも注目を集めていたトピック
・WHOでは2030年までに全世界の小児がん患者の生存率を60%以上にする目標値も設定されており、我が国でも第3期がん対策推進基本計画ではこれらの世代のがん対策が掲げられている
・全国がん登録が2016年から開始されたことで、これらのがんのデータは集まりつつある。現状、データ分析が行われ実態の把握がすすみつつある。今後はこれらのデータが公表され、医療関係者は勿論、患者や家族の意思決定の支援につながるであろう
- ・後述の「市民公開講座」の中でも注目を集めていたトピック
全国がん登録が2016年から始まり、これらのがん患者の把握が可能となってきましたが、患者・治療の集約化が今後の課題として取り上げられています。製薬企業にとって、この集約化は大きな課題であり、対応が求められるところであります。この点について今後の施策に注目が必要と思われます。
市民公開講座で「製薬企業のニーズ」について講演しました
希少がん患者の視点、臨床医の視点、行政の視点や実際に患者・家族を支える支援センターの視点、様々な視点から【がん登録】への願いが伝えられ、非常に興味深いセッションでした。そして、それらの声に応える「がん登録データの分析や公表」の取組みも発表されていました。
なお、本講座はオンデマンド配信され、だれでも視聴することが可能です。ぜひ、お時間があるときにご覧ください。
※オンデマンド配信期間 2021年6月14日(月)~7月9日(金)
また、講演の内容がグラフィックレコーディングされておりました。こちらも合わせて御覧ください。
サイニクスの研究活動 「がん統計データの提供や活用方法の国際間比較」にもご注目ください!
弊社サイニクスでは2017年より二期にわたり厚生労働省 科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業に参加し、研究班の一員として製薬業界におけるがん登録情報の利用実態や利用ニーズ、要望等を調査。その成果を論文として発表しています。2期目となります弊社の分担研究のテーマは「医療情報収集・提供の仕組みの国際比較」です。
本研究班の活動報告については弊社ウェブサイト『全国がん登録関連』にてご紹介しております。
がんに関する情報について、何かお役に立てることがございましたらお気軽にお問い合わせください。