各地域の急性冠症候群(ACS)レジストリー、ビッグデータの活用について~第64回日本心臓病学会学術集会より~

【今回のトピックス】

  • 各地域の急性冠症候群(ACS)レジストリーについて
  • ビッグデータの活用について

2016年~2017年にEpi Database®では循環器疾患のアップデートを予定しております。 そこで、先月末に東京国際フォーラムで開催された第64回日本心臓病学会学術集会に参加し、 知識のアップデートとともに疫学情報の収集をして参りました。数多くの興味深いトピックが取り上げられておりましたが、 “サイニクスならでは”ということで「疫学」の観点からいくつか注目トピックをご紹介させていただきます。

【 第64回日本心臓病学会学術集会 ~進化する臨床心臓病学 】

2016年9月23日(金)~25日(日)に東京国際フォーラムにおいて「進化する 臨床心臓病学」というテーマで第64回日本心臓病学会学術集会が 開催されました。高齢化、医療政策の変化、情報システムの革新等、 医療を取り巻く環境が大きく変わる中で、医療施設のみならず 在宅医療や看護施設を含む連続的なケアシステム、先進的医療開発を支える 産学連携や予防医学的アプローチにおける公的機関との連携の重要性など医療課題が 改めて指摘されました。
私たちは、技術の進歩、新薬と医療機器の開発によって 革新的な進歩を遂げる最新の臨床心臓病学について多方面から議論され、 また、さまざまな興味深い報告発表がなされた中で、各地域の 急性冠症候群における疫学関連や循環器疾患におけるビッグデータなどの活用について注目いたしました。

1. 各地域の急性冠症候群(ACS)レジストリーについて

現在、急性心筋梗塞(AMI)レジストリーが一部地域で行われており、 各レジストリーを用いた研究発表が活発になされておりました。 一方、日本全体のAMIの実態や地域差を把握するためには、登録フォーマットや 定義を統一した「全国がん登録」のような「全国レベルの登録」が必要だという指摘がなされておりました。 Japan AMI Registry(JAMIR)など各地域のレジストリーを統合する活動も 進められており、弊社でもその動きを引き続きフォローしていきたいと思います。

2. ビッグデータの活用について

臨床現場で得られる膨大な医療情報やゲノム情報など、いわゆる 「ビッグデータ」を、国民の健康や寿命の改善のために活用することが 期待されているのは言うまでもありません。 本集会においても2013年よりDPC(Diagnosis Procedure Combination)データが 加味された循環器疾患実態調査(JROAD)などを含め、ビッグデータ 活用について発表がされていました。
これらに加えて、レセプトおよび特定健診のデータベース (National Data Base;NDB)などは、有病患者数の予測以外にも、診断、 治療患者数の特定に非常に有用なデータソースだと考えます。 弊社としてもこれらビッグデータの活用に注目していきたいと思います。

■ 編集後記 ■

関東では珍しく台風が次々と来襲する中での学会ではございましたが、 場所柄(有楽町)、会場の外にでると観光客も多く大変にぎわっておりました。 秋は様々な学会が開催されますが、幅広い疾患を取り扱っている弊社としては どの学会にしようかと参加する学会に悩みます。異なる疾患領域の学会に参加できるのは 特権と思いつつ、各学会の特徴なども考えて、クライアントの皆様にどんな情報を持ち帰ろうかと 楽しみながら参加させて頂いております。「疫学」情報は非常に限られますが、今後も有用な 情報があれば都度皆様と共有できればと思います。たらご連絡頂けますと幸いです。