次世代医療基盤法で何が変わる!?/RWDの基盤構築と臨床研究/未承認薬へのアクセスに関する制度を考える ~日本臨床疫学会&日本薬剤疫学会より~

9月29日(土)に日本臨床疫学会第2回年次学術大会が、京都で「New Measure, New Value」のテーマのもと、また、10月13日(土)~14日(日)には第24回日本薬剤疫学会学術総会が「薬剤疫学研究の新たな方法論」のテーマで仙台にて開催され、今年も弊社スタッフが参加してきました。残念ながら、日本臨床疫学会は台風24号の影響により2日目のプログラムが中止となってしまいましたが、両学会とも、2018年5月11日に施行された次世代医療基盤法や医療データベースを用いた疫学研究に関する講演など充実した3日間となりました。
2つの学会から弊社スタッフの注目トピックをお届けします!

  • 急次世代医療基盤法で何が変わる!?
  • リアルワールドデータ(RWD)の基盤構築と臨床研究 ~日本臨床疫学会第2回年次学術大会より~
  • 未承認薬へのアクセスに関する制度を考える ~第24回日本薬剤疫学会学術総会より~

次世代医療基盤法で何が変わる!?

8月に第3回オープンデータが公表されたナショナルデータベースは、これまで超後期高齢者データの年齢層が「85歳以上」の一括りであったのが、85歳~100歳の範囲で、より細かい4つの年齢層で公表されるなど、毎年少しずつ改善されてきています。
ナショナルデータベースのほかにもNational Clinical Databaseなど現在多くの医療データがあります。
その中で、2018年5月11日に施行された次世代医療基盤法では、国の認定を受けた認定事業者に対して、医療機関は個人が識別できないように加工した上で、医療情報を提供できるようになりました。施行されたばかりの法律ですが、これからいずれかの事業者がしっかりと認定を受け、仕組みを動かし、医療に関わるデータの利活用が世の中に役立つということを示していくことが望まれる、と講演の中でも語られました。
今後この新しい法律のもと、医療データを活用した研究開発がどのように進められ、医療分野においてどう発展していくのかますます注目されます。

リアルワールドデータ(RWD)の基盤構築と臨床研究
~日本臨床疫学会第2回年次学術大会より~

日本臨床疫学会の理事でもある京都大学の川上先生から、多様な医療機関の電子カルテデータや学校健診データを収集、分析し、各医療機関や個人に返す(一次利用)、そして、さらに臨床研究に活用する(二次利用)取り組みが紹介されました。
特に私たちが子供の頃から受けていた健診データは5年で破棄されてしまっていますが、このような健診と医療を繋ぐことによって、将来の予防医療にもつながるのではないかと語られました。

未承認薬へのアクセスに関する制度を考える
~第24回日本薬剤疫学会学術総会より~

重篤な疾患を抱えた患者や、代替薬が無く臨床試験にも参加できない患者に、未承認薬を人道的な観点から例外的に使用可能とする制度(コンパッショネート・ユース(CU)制度)は多くの国で存在します。米国では未承認薬への拡大アクセスの制度を運用してきた長い歴史があり、現在は正式には“Expanded Access”と称して運用されています。
まだ日本では承認されていない海外承認済みの薬剤が多くある中、2016年から導入された「拡大治験」や「患者申出療法」がその要素をもった制度として、日本でも運用が開始されています。CU制度について、国内外での制度の運用や取り組みについて紹介されました。