先日、弊社サイニクス社員が講演の機会をいただきました「公的統計・レジストリデータの利活用~安全性と利便性の狭間で~」(日本計算機統計学会(JSCS)主催 フォーラム(2023年3月3日開催))よりキー・ハイライトをお届けいたします。
製薬企業の皆様、特にがんの市場性評価を担当される皆様において、知っておくべき情報も多々ございますのでご報告させて頂きます。
キーハイライト
- 公的統計やレジストリーデータの匿名化における法的な解釈と実際の運用における課題などが専門家により話し合われました
- ディスカッションの中心は「全国がん登録」の匿名化について
- 秘匿化の義務により希少がんの患者数を伝えることができないなどの問題点が挙げられていた
> 全国がん登録では(データの単位に関わらず)10症例未満は秘匿化が義務付けられています。このルールのために性・年齢別に患者数報告ができず、せっかくの研究の意義が損なわれている可能性などが示唆されました - グローバル研究に全国がん登録データを持ち出せない壁はどう対応するべきか?
- 全国がん登録データを更に活用するためにも、がん登録の患者同意書を得る際に他データとリンケージして活用することを許可してもらう方法を検討するべき
- 「院内がん登録が幅広く利用できるよう声を上げてほしい」とのお声があった(祖父江友孝先生)
- National Database(NDB)と全国がん登録は今後リンクすることが“検討”されている
JSCSフォーラム2023「公的統計・レジストリデータの利活用~安全性と利便性の狭間で~」講演 一覧
(敬称略)
- 個人情報保護法とがん登録推進法(中央大学 石井夏生利)
- 公的統計における匿名化の取り組み(統計数理研究所 南和宏)
- 公的統計のミクロデータの利活用の仕組みと実際(統計数理研究所 椿広計)
- 全国がん登録データの利用における課題(国立がん研究センター 片野田耕太)
- 製薬企業における医療データの二次利用(ファイザー(株) 東郷香苗)
- 企業におけるがん登録データ活用への期待と課題(サイニクス(株)村松綾子)
各講演内容やキーハイライトの詳細につきましては、学会Websiteにてご確認ください。
サイニクスとしては、本フォーラムに初めて参加させていただきました。
公的データを活用するものとして、よりよいデータが公表されますよう今後もより積極的に参加をしていこうと思っています。
また、現状では「院内がん登録」は外部にデータ提供ができない=活用はできないという理解でしたが、「全国がん登録だけでなく院内がん登録の活用についても声を上げてほしい」という意見があがり、今後の展望を期待しております。
院内がん登録データは、年々充実したデータが提供されてきています。
製薬企業にとっては非常に有用なデータであるため、継続的に声を上げていければと思います。皆様からもご意見などあればぜひお声を上げて頂けますようお願いいたします。