希少疾患の市場も把握可能に!全国がん登録データを用いたICD-O-3 コード別 血液がん罹患患者数の報告

この度、弊社サイニクス株式会社の社員が執筆した論文「全国がん登録データを用いたICD-O-3コード別 血液がん罹患患者数の報告(Incidence of hematologic cancer types in Japan by ICD-O-3 code: analysis of National Cancer Registry)」が英国 Future Science OA誌に掲載されました。

本論文は全国がん登録の2016年データを用いて血液がんの罹患患者数をICD-O-3コード分類別に分析した結果をまとめたもので、最小単位であるICD-O-3コードで疾患を定義することで、薬剤の対象市場をより精度高く把握し予測することが可能となります。

製薬企業にとってもご活用いただける内容となっておりますのでご紹介します。

論文のポイント

  • 全国がん登録(2016年データ)を用いて日本全土の血液がん患者数を報告
  • ICD-O-3コード別に罹患率を報告
  • 希少疾患でも性別・年齢群別に分析が可能
  • 血液症例報告(日本血液学会)と全国がん登録データが比較されているため、お互いの特徴を活かしたより細かな分析が可能

なぜ薬剤の市場評価に有用なのか?

  1. 希少疾患も把握?! ICD-O-3コードで任意の市場定義を作成
    一般的に血液がんはICDコードかWHO Classificationsに基づき報告されています。しかし治療を行う際のセグメントに必ずしも合致しておらず、薬剤の対象市場を正確に把握することが困難でした。
  2. 精度の高い将来予測が可能
    一般的にがんは高齢者の女性よりも男性に多い疾患です。血液がんも例外ではありません。細かく分かれているサブタイプの中には、若年であっても罹患するがんや、女性の罹患率が男性に比べると高い疾患も存在しています。
    そういった特徴を把握すると同時に、年齢構成や男女比は将来の患者数予測に大きな役割を占めているため、細かくデータを分析することでより精度の高い将来予測が可能になります。
  3. 他のデータと比較しながら治療動向も分析が可能
    血液症例報告(日本血液学会)は、血液症例の動向を把握するためには欠かせないカバー率も高く、細かなデータも報告されている非常に有用なデータです。
    ただし、全国がん登録データはICD10コードで報告されているため、血液症例報告と比較することが難しかったのですが、ICD-O-3コードであれば症例報告が採用しているWHO Classificationsに直して患者数を比較することも可能です。
    細かな治療データが報告されている血液症例報告の患者カバー率を把握することで、より安心してデータを活用できるようになるのではないでしょうか。

細かなデータは論文のSupplement Dataとして入手が可能です。ぜひご一読ください。

サイニクスとがん登録

弊社サイニクスは2017年より20年近くもの間、日本がん登録協議会の賛助会員を務めています。また、2017年より三期にわたり厚生労働省 科学研究費補助金 がん対策推進総合研究事業に参加し、研究班の一員として製薬業界におけるがん登録情報の利用実態や利用ニーズ、要望等を調査。研究班の一員としてその成果を論文として発表し、また、がん登録データの活用促進に取り組んでいます。

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